テレホンセックスと出会いが玉石混交だったテレクラ

テレホンセックスと出会いが玉石混交だったテレクラ

テレホンセックスと出会いが玉石混交だったテレクラ

出会い目的のテレクラ利用者と、テレホンセックス目的のテレクラ利用者の間には埋めがたい溝があり、両者は理解しあえない傾向にあります。

もちろん、なかには、出会い目的のテレクラ利用とテレホンセックス目的のテレクラ利用を巧妙に使い分け、ランダムのツーショットダイヤルで繋がった相手ごとに臨機応変に自分の身の振り方を変えていくタイプのテレクラユーザーが存在しないわけではありませんし、手前味噌ながら私自身もそういったテレクラ利用者ではあるのですが、その数は、やはり全体から見ると少ないと言わざるをえません。

黎明期の店舗型テレクラが主流の時代においては、現在の無店舗型テレクラのように「目的別」でテレクラを選ぶことができませんでしたから、自分の目的が必ず満たされるテレクラ遊びができる環境がないというのが前提となっていました。

ところが、スマートフォンなどの携帯端末対応のテレクラである無店舗型テレクラが登場してからは、「出会いに特化したテレクラ」や「テレホンセックス専門のテレクラ」などが登場し、テレクラユーザーは自分の目的や性癖にあわせて自由にテレクラを選ぶことができるようになっています。

この分化と先鋭化によって、無店舗型テレクラというのは、玉石混交の目的が交錯する状況のなかでハプニングを楽しみながら自分の目的を満たしていく店舗型テレクラとは、テレクラとしてまったく違う道をあゆみはじめることになるのですが、この新しいあゆみが、テレクラという場所にある種の閉鎖的な環境を醸成するあゆみであったこともまた確かです。

というのも、現在の無店舗型テレクラにおいては、「出会い目的のテレクラユーザー」と「テレホンセックス目的のテレホンユーザー」という二つの線が交わるポイントを持つことが、ほとんどなくなっているからです。

出会い目的のテレクラ利用者は出会いに特化したテレクラだけを利用し、テレホンセックス目的のテレクラ利用者はテレホンセックス専門のテレクラを利用する。この利用状況によって、たしかに目的が違う男女の回線がつながったときの対立や齟齬、それらの衝突によって生じる悲劇をあらかじめ回避できるようになったことは、まったく素晴らしいことであります。

店舗型テレクラからのテレクラユーザーは、テレホンセックスがしたいのにテレホンセックスに嫌悪感を示して一向にプレイを開始できない女性に悩まされることや、逆に出会い目的なのにテレホンセックスに巻き込まれることのうんざりするような事態から解放され、「よもや、テレクラを利用するにあたって、これほどクリアで使いやすい環境が整うことになろうとは思いもしなかった」という喜びの声を挙げさえしています。

その一方で「ハプニング的なテレホンセックス」「テレホンセックスからのリアルセックスへの移行」といった、「目指していたはずの場所とは違う場所に到着してしまう面白さ」というような、黎明期のテレクラ特有のダイナミックな逸脱が欠けている現在のテレクラに対して、「あまりにも使いやすすぎて、棲み分けもされているために、テレクラ本来の醍醐味が失われているのではないか」というような声も寄せられます。

「自分にはまったく理解できない他者がいる」という感覚が味わえなくなったというのが、現在のテレクラの現状でもあるわけです。

さきほど「素晴らしいこと」と評されたものも、角度を変えて考えると、むしろ、テレクラというものの肉体を痩せ細った軟弱なものにしかねない「嘆かわしいこと」なのかもしれません。

テレクラという場所に開かれた交通のための回路を開くこと、その可能性はまだ残されている状況であるのですが、「出会い目的」と「テレホンセックス」の見事なまでの棲み分けの状況は、この可能性をゼロに近づけていく方向性で意見が統一されて進行している、近いうちに二つの回路が途絶えて完全なる断絶の日が到来することも否めません。

出会い目的のテレクラユーザーの回線のなかにテレホンセックスプレイヤーが不意に侵入し、テレホンセックスセックスプレイヤーとのテレホンセックスを終えたあとに出会いへと強引に持っていこうとするテレクラユーザーがまぎれこむということによって、テレクラがたえずバグをおこして異種間交配をおこなう。テレクラというものはその不意におこる不快な他者の受容によって発展してきたのではなかったか。

分化と先鋭化がピークに到達し、でそれぞれの利用目的のテレクラユーザーが閉鎖的に煮詰まっていく断絶の状況のなかで、こういったテレクラの基本を思い出すタイミングがきているように思われます。

出会い目的のテレクラユーザーもテレホンセックス目的のテレクラユーザーも同時に引き受けて飲み込み、どのようなテレクラユーザーをも排除しないようなテレクラというものが、いま、求められているのかもしれません。

実際、テレホンセックス専門ではない総合的なテレクラであるとか、相手の目的や性癖などをあらかじめ知ることができるプロフィールツーショットではなくランダムで回線が繋がるツーショットダイヤルをメインにしているテレクラというのは依然として残っているのですし、それらのテレクラは大手や老舗であることが多く、また、それらを利用するテレクラユーザーの数は、専門テレクラ以上でもあるのです。

専門化したテレクラではない総合的テレクラの残り方と人気などを見ると、「テレクラユーザーというのは自分の思い通りにはならないということを、どこかで理解し、それを欲しているのではないか」ということを考えさせられます。

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