いまテレホンセックスは岐路に立たされて生まれ変わろうとしている

いまテレホンセックスは岐路に立たされて生まれ変わろうとしている

いまテレホンセックスは岐路に立たされて生まれ変わろうとしている

テレホンセックスというのは、ASMRブームをさきどっていた早すぎる性行為だったのかもしれません。

耳元にダイレクトに届けられる音響(咀嚼音や耳かきの音などが主流ですね)によって快楽的感覚を与え、脳をとろけさせるASMRというものと、声を言葉だけで性的絶頂を目指すテレホンセックスの共通点は言うまでもありません。

テレホンセックスの快楽とはなにか?ということを考えない日はないのですが、そう簡単には答えは出ないもの。

答えが出ないからこそ、テレホンセックスが何度も執拗に繰り返されることにもなるわけですが、ASMRの登場によって、テレホンセックスの快楽の出処や特徴などは、だいぶ、見取り図がとりやすくなったのではないかと思います。

ASMRが出てくる前、テレホンセックスの快楽について話すことは困難を極めていました。

セックスでもオナニーでもない、この肉体を直接触れ合わせないテレホンセックスからもたらされる独特の快楽を、どのように未経験者に伝えればいいのかという糸口を見つけることさえできず、多くのテレホンセックスプレイヤーは、テレホンセックス未経験者に対して「とにかくプレイしてみないことにはわからない」という経験論的な物言いしかできず、もどかしい想いを抱いていたものです。

ここに登場したのが、ASMRというもの。イヤホンやヘッドフォンを使って聴覚的快楽(ときには視覚も伴う、というのがテレホンセックスとの最大の違いだが)を堪能するというASMRが、アダルトコンテンツとしてでなく、広く、一般的な健全な層にまで広がっているということは、テレホンセックスの快楽についての説明を大いに容易にするきっかけとなりました。

テレホンセックスプレイヤーならば、人の声を使ったASMRというものをはじめて再生したときに「これって、テレホンセックスじゃないか!」という声が漏れるのをどうしても抑えられないはず。

それと同時に「こんな、ほとんどテレホンセックスとしか言いようがない卑猥なコンテンツが、これといった年齢規制などもないまままかりとおり、多くは若い女性などが好んでこれを再生して聴覚的快楽をえているという状況は、大丈夫なのだろうか?」と勃起しながらいらぬ心配をするまでがセットでしょうか。

なんにせよ、ASMRの登場と静かなブームの燃焼のおかけで、テレホンセックスって何がいいの?という未経験者からの質問に対しては「まあ、ASMRみたいなものだよ」と返答して、それなりに「なるほどね」と納得してもらえるようになったのは、テレホンセックスにとっては大きな進歩であるといえます。

「ASMRをより性的に特化させたもの」あるいは「ASMRは一方的に与えられるものだが、テレホンセックスはリアルタイムで自分の声も相手に届けることができる双方向的コミュニケーションである」という補足をすれば、ASMRを使ったテレホンセックスの説明は、だいたいうまくいくでしょう。

また、ASMRからテレホンセックスが学ぶところも多いと思います。テレホンセックスは、ASMRの登場と普及によって獲得された成果を自分自身に貪欲に取り入れて、より快楽的になっていく必要があるでしょう。

ASMRとテレホンセックスの最大の違いのうちの一つは、ASMRというものが、バイノーラルマイクロホンを使って録音されたリアルな立体音響であるということでしょう。

スマホのマイクでは、ASMRの音響のような臨場感を吹き込むことができません。イヤホンを両耳に装着していても、テレホンセックスの声だけから空間的な広がりを想起するのはかなり難しいと言わざるをえません。

多くのテレホンセックスプレイヤーは、テレホンセックスというプレイに空間的な広がりを与えるためには、声ではなくて、言葉(語り)によってそれを示唆し、相手に様々なことを想像させなければなりませんでした。テレホンセックスというのは、制限された状態が続いていたといえます。

とはいえ、言葉によって空間感覚を刺激してテレホンセックスに奥行き(あるいは極端な平面性)を与えるというような想像力の仕事は、テレホンセックスプレイヤーにとっては古典的な楽しみの一つでもあります。この楽しみ方の価値や、想像力を刺激するための創意工夫を放棄するわけにはいかないでしょう。

ASMRは、「音」でもって「ダイレクト」に空間を立ち上げていきます。ASMRは放たれる言葉の意味以上に、生起する音によって立ち現れてくる現象や、生々しい身体感覚をなによりも重視します。

ASMRの登場とともに、テレホンセックスにおける身体性、言葉によるテレホンセックスの語りによる空間処理は改めて見直されるはずです。そして、ASMR登場以前からテレホンセックスに胚胎していた快楽における現象的な側面と、その現象的快楽を獲得するための実践が再評価されることにもなるでしょう。

しかし、そのような成果が出てくる前に、まずは、テレホンセックスにバイノーラルマイクロホンを導入するという遊び方が定着する必要があります。その定着には、おそらくかなりの時間が費やされることになるだろう、というのが私の予想です。

「耳が早い」先進的テレホンセックスプレイヤー同士は、すでに、バイノーラルマイクロホンとヘッドフォンを導入して行うASMR的テレホンセックスの快楽に興じながら、日々実験を重ねていますが、世の中の多くのテレホンセックスプレイヤーは、というと、まだ、ASMRというものとテレホンセックスを断絶させたままテレホンセックスを楽しんでいる傾向があります。

この定着が難しい原因としては、「テレホンセックスの双方向性」というものが挙げられると思います。

たとえば、私がスマートフォンに装着できるバイノーラルマイクロホンを利用していても、相手がヘッドフォンやイヤホンを使っていなければ、まったくの無意味です。同様に、私がヘッドフォンでバイノーラルサウンドに対応しようとしていても、相手となるテレクラ女性がバイノーラルマイクロホンを使用していなければ、届けられる音響はASMRにはなりえません。

テレクラでプレイされるテレホンセックスというのは、テレホンセックスフレンドと呼べる特定のテレホンセックスパートナーがいない限りは、基本的には相手となるテレクラ女性は毎回ランダムで決定されることになります。

つまり、すべての家庭にスマホ用のバイノーラルマイクがある、というような状態にならない限り、ASMR的テレホンセックスがプレイできるかどうかは、運によって左右されるということになるわけです。

テレホンセックスプレイヤー全員がバイノーラルマイクを所有してスマホに装着しているという未来の到来をただただ指を加えて待っているわけにはいきません。人生はあまりに短すぎ、快楽を堪能できる身体はどんどん衰えていくからです。

では、どうすればいいか、というと、ここで、あのテレクラにとって最も古い機能であるところの伝言ダイヤルを活用します。当方にバイノーラルマイクの用意があり、バイノーラルマイク所有者のテレクラ女性との濃厚ASMR的テレホンセックス希望、という欲望を録音した伝言メモを残しておけば、まだまだ絶対数は少ないですが、ときどき「あの、ASMR的テレホンセックスをプレイしたいのですが……」という話を持ちかけてくるテレクラ女性との回線をつなげることができます。

実際、私はこの方法で、まだ数回ほどではありますが、ASMR的テレホンセックスを実践しています。まだ黎明期の段階ゆえにプレイが首尾よくうまくいったとはいえないのですが、プレイを楽しんだテレクラ女性とは、バイノーラルマイクを利用したASMR的テレホンセックスの発達のために協力しあおう、という共同戦線をはり、空いた時間を利用してASMR的テレホンセックスの可能性を追求しています。

その成果を報告するのはもう少し先のことになりそうですが、テレホンセックスの新しい潮流がここにあることは間違いない、という確信にも似た予感が私にはあります。

それと同時に、一般的なものとして流通しているASMRというものから聴覚的刺激による快楽に目覚め、テレホンセックスにたどりつく未来のユーザーが多数いるだろうということも予感しています。

私たちはいま、ASMRブームがテレホンセックスブームにつながっていくかどうかの、時代の境目、分水嶺に立っているということができるでしょう。

私はその境目に立ってASMR的テレホンセックスを堪能し、黎明期特有の手探りで新しいものを生み出す楽しみを存分に味わっている次第です。

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